酒落神戸、俳句ポスト365兼題「熱燗」を研究する

【追記】

沢の鶴さんのTwitterを見てやってきて下さった皆さん、ありがとうございます。
テレビ「プレバト」で有名な俳人「夏井いつき」さんが選者の俳句投稿サイトで現在「熱燗」と言うお題が出ています。
お酒好きの皆さんに是非「熱燗愛」の一句を投句頂けると幸いです。

俳句ポスト365投句ページ

「熱燗」もしくは「燗酒」が冬の季語になっていますので、このどちらかを入れて五七五で詠んでください(俳句は「熱燗に焼きたる舌を出しにけり」のように途中にスペース(空白文字)も改行も入れずに書くのがルールです)。

【追記おわり】

 

俳句ポスト365や一句一遊の兼題が発表されると、ハイポニスト・いつき組の人たちは一斉にその兼題(多くは季語)について調べ出す。食べ物であれば何とかしてそれを入手し食べ、植物なら探しに行き、見つからなければYouTubeで動画を見たり、検索で画像を見たり。

次の俳句ポスト365の兼題は「熱燗」。もちろんこれは飲まねばと、酒好きから普段は酒を飲まない(酒が飲めない)人までが、ある人はお店に飲みに行き、またある人は酒器や温度計を買ってきて自分で燗をして燗酒を飲み、季語の調査に余念がない。もちろん、私も例に漏れず……いや兼題関係なしに普段から呑んでますがwww

さて、俳句ポスト365の底本である講談社の大歳時記では熱燗の傍題に「燗酒」とあるが、酒飲みの私に言わせるとこれはイコールではない。燗酒は燗をつけた(温めた)酒全般を言い、熱燗はその中で50度前後のものを……うんぬん。と、Twitterでウンチクを語ったのだが……そこで疑問が。

雪冷え (ゆきびえ)    5℃近辺
花冷え (はなびえ)   10℃近辺
涼冷え (すずびえ)   15℃近辺

常 温 (じょうおん)  20℃近辺

日向燗 (ひなたかん)  30℃近辺
人肌燗 (ひとはだかん) 35℃近辺
ぬる燗 (ぬるかん)   40℃近辺
上 燗 (じょうかん)  45℃近辺
熱 燗 (あつかん)   50℃近辺
飛切燗 (とびきりかん) 55℃以上

熱燗について調べるとすぐに燗酒の温度を定義したこの表にたどりつくのだが、この定義一体「誰」(どのような組織)が「何時」決めたものかが分からない。雑誌に平成になってから決まったと書いてあるとの情報があったが、それ以上の詳しい情報は無し。

超超超有名俳人高浜虚子は

熱燗に焼きたる舌を出しにけり

熱燗に舌を焼きつつ談笑す

と言う句を詠んでいるが、飲んでみれば分かるが50度ぐらいで舌を焼くほど熱いと感じる事はない。はっ、もしや虚子は猫舌!?一体この定義は何時できたのか、虚子は何度ぐらいの燗酒を飲んでいたのか……

そんなこんなで、灘五郷に住んでいる地の利を活かし近くの蔵元まで聞きに行ってきたwww

お伺いしたのは立派な資料館をお持ちの「沢の鶴」さん。以前にも伺った事があるのですが、せっかくなので今回もじっくり拝見させて頂きました(が、その部分は省略)。お隣のミュージアムショップに行き試飲をさせて頂き、燗酒に良さそうな資料館限定のお酒を買って……

あっ、これこれ!温度定義のパネルがありました。レジの方にこの温度設定はどこがいつ決めたか知りたいのですが?とお話したところ電話で詳しい方を呼んでいただけました。出てこられた男性、私より少し上ぐらいでしょうか、にもう一度説明して聞いてみると、「それはウチですね……」と。えっ、いやこのパネルの事ではなくて全国色んな蔵元でも使われているこの定義の初めはどこかという質問なんだけどなあ……と話を続けると「あまり大々的には言ってませんが」「ウチの先代(現会長)が……確かこの本に……」とショップで売っていた本をパラパラと。

 

私も一冊を手にとって探すと、ありました!

(P.109 要約)
燗について熱燗などの言葉はあったがそれぞれが何度かは明確でなかった。冷やについては表現する言葉もなかった。それに対して「沢の鶴」で研究会がもたれ平成五年(1993年)に定式化された。この成果は「日本酒造組合中央会」や「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会」(SSI)でも認められ、現在一般的定義になっている。

がーん、なんと一発で大当たりを引いてしまいました。東京(日本醸造協会)ではなく、灘五郷酒造組合あたりの可能性もあるなと思っていたのですが、こんな近くに答えがあったとは。

更に、

(P.110 要約)
熱燗に舌を焼きつつ談笑す 高浜虚子
虚子先生は何度の燗酒で舌を焼いたのでしょうか。これは熱燗ではなく飛びきり燗だったのかも。

と、何とビックリ俳句にまで言及がありました。

いやあ、ネットで情報を探すのは結構得意で大体のものはネット検索で片付けてしまうのですが、足を使うのも大事ですね〜(なんか刑事ドラマみたいや)

と言う事で

・現在の5度刻みの燗酒の温度定義が出来たのは1993年(平成五年) ※全国に広まったのはその少し後?
・高浜虚子が呑んでいた燗酒は50度ぐらいではなくもっと熱かった
(か、虚子先生が猫舌だったwww)

これからすると、今回の兼題「熱燗」を詠むのに「50度」という定義に拘る必要はなく、もっと熱燗の「熱い」ってイメージで詠んでも良いのかと考えます。

p.s.
酒飲みとしては燗酒は面白い世界(温度、酒の種類(酒質)、盃の形状、etc.で味が変わる)なので、これまで燗酒を飲まなかった方にも俳句とは関係なく色んな温度で燗酒を楽しんでもらえると嬉しいです♪

 

※アイキャッチ画像には「昔の酒蔵 沢の鶴資料館」の「野点用燗器」の写真を使用しています。
欲しい……

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この記事を書いた人

プレバト の影響で2017年より俳句を始めた初心者です。

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